基本操作

本章ではskkIMの操作法をまとめます。 基本的な入力方法はすべてこの章で網羅されていますので、 この章の内容を把握すれば問題なくskkIMが使用できるように なるはずです。

起動

BeOSを起動した直後はskkIMはアクティブになっていません。 skkIMを起動するにはAlt-SPACEを押します。 画面の右下に下記のようにモードパレットが表示されるはずです。

 かな
モードパレットが表示されない場合、skkIMがインストールされていないか、 他のIMが選択されている可能性があります。Alt-SPACEを何回か押しても モードパレットが表示されない場合、インストールを最初からやり 直してみましょう。

モード

skkIMは、入力しようとしている文字種による4種類の 「入力モード」と、 辞書を用いた変換の状態により3つの 「変換モード」を持ちます。

入力モード

入力モードには、次の4種類があります。

「かなモード」
ASCII文字をひらがなに変換するモードです。モードパレットの表示は `かな'となります。
「カナモード」
ASCII文字をカタカナに変換するモードです。モードパレットの表示は `カナ'となります。
「全英モード」
ASCII文字を全角アルファベットに変換するモードです。モードパレット の表示は`全英'となります。
「アスキーモード」
文字変換を行なわないモード。入力されたキーはC-jC-qを除いて通常の入力として解釈されます。 モードパレットの表示は`SKK'となります。

各入力モードの変更を行なうキーは下記の通りです。

q
「かなモード」と「カナモード」を切り替える。
l
「かな/カナモード」から「アスキーモード」へ切り替える。
L
「かな/カナモード」から「全英モード」へ切り替える。
C-j
「アスキーモード」または「全英モード」から「かなモード」へ切り替える。

実際にはカナモードや全英モードで長時間入力を続けることはほとんどないの で、かなモードのままでカナ文字や全英文字を入力する便法が用意されています。 (入力モードの一時変更)。

変換モード

変換モードには、次の3種類があります。

「■モード(確定入力モード)」
あるキー入力に対応する文字列を、辞書を用いた文字変換を行なわずに直接 入力するモードです。入力モードに応じてローマ字からひ らがな、ローマ字からカタカナ、あるいはアスキー文字から全角アルファベット への文字変換を行ないます。
「▽モード」
辞書変換の対象となる文字列、「見出し語」を入力するモードです。
「▼モード」
見出し語について、辞書変換を行うモードです。

また、▽モードの変種として SKK abbrev modeがあり、▼モードのサブ モードとして、「★モード(辞書登録モード)」 があります。

■モード

確定入力モードを「■モード」と呼びます。■モードでは、あるキー入力に対応 した特定の文字列への変換のみを行ない、辞書変換は行いません。 ASCII文字列から、入力モードに応じて、ひらがな、カタカナ、あるいは全角ア ルファベットへの文字変換を行ないます。変換を行なうウィンドウ上にこのモー ド特有のマークは表示されません。

かなモード、カナモードで、かつ■モードである場合、ディフォルトの入力方法 はいわゆるローマ字入力です。訓令式、ヘボン式のどちらによっても入力する ことができます。主な注意点のみ以下に述べます。

▽モード

「▽モード」では、辞書変換の対象となる文字列を入力します。 かなモード、もしくはカナモードで、かつ、■モードであるときに、 キー入力を大文字で開始することで、▽モードに入ります。 例えば、

K a n j i
▽かんじ

のようにタイプすることで、▽モードに入り、続けて辞書変換の対象となる文字 列、「見出し語」を入力してゆくことができます。 `▽'マークは、▽モード であるという表示であり、また、見出し語開始点を示す表示でもあります。

誤って▽モードに入ってしまったときはC-jとタイプし、■モードに戻 るかC-gとタイプし▽モードで辞書変換の対象となっている文字列を消 去するかの 2 通りの処理の方法があります。具体例を下記に示します。

K a n j i
▽かんじ
C-j
かんじ

あるいは、

K a n j i
▽かんじ
C-g
 
なお、▽モードでは、文字列の間に空白を含め ることはできません。

▼モード

「▼モード」では、▽モードで入力した見出し語を、辞書に従い変換する作 業を行ないます。▽モードで見出し語を入力した後SPCをタイプすることで ▼モードに入ります。`▽'マークからSPCをタイプしたときに水色でハイライトされている範囲までが見出し語として確定され、`▽'マークは`▼'マーク で置き換えられ、文字列σが辞書の中で検索されます。仮に、辞書に

かんじ /漢字/幹事/

というエントリを含むと して、例を示します。

K a n j i
▽かんじ
SPC
▼漢字

この例では、▽モードにおいてハイライトされている文字列 `かんじ'を辞書変換の対象文字列σとして確定し、その文字列σについて辞書 内での検索を行なっています。

`漢字'が求める語である場合はC-jをタイプすれば、 この変換が確定し、ハイライト表示も`▼'マークも消えます。 またC-jをタイプせずに、新たな確定入力を続けて行ない、あるいは 新たな変換を開始することで直前の変換は自動的に確定されます。これを 「暗黙の確定」と呼びます。副作用として確定を伴なうキーは、 印字可能な文字全てとRETです。

求めるものが`漢字'でなければ、更に続けてSPCを タイプすることで、文字列σに対する次候補を検索します。

▼漢字
SPC
▼幹事

候補が5つ以上あるときは5番目以降の候補は7つずつまとめて候補パレットに表 示されます。例えば、辞書が

きょ /距/巨/居/裾/嘘/拒/拠/虚/挙/許/渠/据/去/

というエントリを含むときにK y oの後にSPCを5回続けて打てば、

  A:嘘 S:拒 D:拠 F:虚 J:挙 K:許 L:渠 [残り 2]

と、候補パレットが表示されます。 ここで仮に`許'を選択したければ、`k'を入力します。 `A',`S', `D', `F', `J', `K', `L'の各文字は、 押し易さを考慮してキーボードのホームポジションから横方向に一直線に配置さ れているキーが選定されています。また、候補の選択のために押すキーは、大文字、 小文字のいずれでも構いません。

SPCを連打してしまい、誤って求める候補を通過してしまったときは `x'により前候補/前候補群に戻ることができます。

候補を次々と探しても求めるものがなければ、自動的に★モード(辞書登録モード)に なります。(★モードは▼モードのサブモードです) 。これについては ★モード(辞書登録モード)にて後述します。

次に送り仮名のある単語について説明します。`動く'を変換により 求めたいときはU g o K uのように、まず▽モードに入るために `U'を大文字で入力し、次に送り仮名の開始をskkIMに教えるために `K'を大文字で入力します。送り仮名の`K'をタイプ した時点でSPCをタイプすることなく、▼モードに入り辞書変換が 行なわれます。送り仮名の入力時、ローマ字プレフィックスが挿入された瞬間に、 プレフィックスの直前に`*'を一瞬挿入し、送り仮名の開始時点を 明示します。プレフィックスに続くキー入力で、かな文字が完成した時点で `*'は消えます。キー入力を分解して追いながらもう少 し詳しく言うと、下記のようになります。

U g o
▽うご
K
▽うご*k
u
▼動く

skkIMではこのように送り仮名の開始地点をユーザーが明示的に入力するために、 システム側で送り仮名を分解する必要がなく、高速でヒット効率が高い変換が可能 です。

但しサ変動詞の変換では、サ変動詞の語幹となる名詞を「送りなし変換」 として変換し、その後`する'を■モードで入力した方が効率が良い です。

★モード(辞書登録モード)

skkIMは独立の辞書登録モードは持ちません。辞書にない単語についての変換を 行なった場合に、変換の継続動作として辞書登録モードに入ります。 例えば辞書に

へんかんちゅう /変換中/

のエントリがない場合に、`変換中'を得ようとして、 H e n k a n t y u u SPCとタイプすると、 下記のように、★モードに入り、`へんかんちゅう'の 登録パレットが表示されます。

★|
  registering "へんかんちゅう"

辞書登録モードでは、登録パレットに表示されている見出し語に対しての 候補の入力を行います。

へんかん /変換/
ちゅう /中/

のようなエントリがあるとして、`変換中'の文字列を `変換'`中'とに分けて作ります。

H e n k a n SPC T y u u SPC
★変換▼中|
  registering "へんかんちゅう"

ここでRETをタイプすれば`変換中'が個人辞書に 登録され、辞書登録モードは終了します。 同時に変換を行なっているウィンドウには、`変換中'が挿入 され確定されます。

送り仮名のある単語の登録では、ミニバッファで作る候補に送り仮名そのものを 登録しないように注意しなければなりません。仮に辞書に

うごk /動/

というエントリがないとして、例を一つ述べます。

U g o K u
★|
  registering "うご*く"

ミニバッファで辞書登録すべき文字列は、`動'のみであり、 送り仮名の`く'は含めません。`動く'を登録して しまうと、次にU g o K uとタイプしたときに出力される候補が `動くく'になってしまいます。

D o u SPC
★動|
  registering "うご*く"
RET
動く

サ変動詞(名詞の後に`する'を付けた形で構成される動詞) については、`する'を送り仮名とした送りあり変換 を行なわず、`運動'`する'と分けて入力した方が効率が良いです。 例えば`運動する'U n d o u <\KBD>SPC s u r u とタイプすることにより得られます。名詞から作られる形容詞等も同様です。

誤まって辞書登録モードに入ったときはC-gをタイプするか、もしくは 何も登録せずRETをタイプすると▽モードに戻ります。

ミニバッファを再帰的に使い辞書登録を再帰的に行なうことができます。 仮に辞書に

さいきてき /再帰的/
さいき /再帰/

のようなエントリがなく、かつ

さい /再/
き /帰/
てき /的/

のようなエントリがあるとします。 ここでS a i k i t e k i SPCとタイプすると、 文字列`さいきてき'に対する候補を見つけられないので、 `さいきてき'という登録パレットを表示して、★モードに 入ります。

`さいきてき'に対する辞書エントリを作るためS a i k i SPCとタイプすると、更にこの候補も見つけられないので、 登録パレットに`さいきてき'に続いてで`さいき'と表示し、 再帰的に★モードに入ります。 S a i SPC K i SPCとタイプすると、 表示は

★再▼帰|
  registering "さいきてき"
registering "さいき"

となります。ここでRETをタイプすると、個人辞書には

さいき /再帰/

というエントリが登録され、`さいきてき'の★モードに戻り、 登録パレットは`さいきてき'となります。 確定した文字列`再帰'が挿入され、画面は下記のようになります。

★再帰|
  registering "さいきてき"

続けてT e k i SPCとタイプすると、

★再帰▼的|
  registering "さいきてき"

となります。ここでRETをタイプすることで、 `さいきてき'の辞書登録モードから抜け、個人辞書に

さいきてき /再帰的/

というエントリが登録されます。ウィンドウのカーソル位置には、 `再帰的'が挿入されます。

改行文字を含む文字列を辞書に登録するには、辞書登録モードで改行文字を C-q C-jにより入力します。例えば、

〒980
仙台市青葉区片平2-1-1
東北大学電気通信研究所

を辞書に登録するには、辞書登録モードで、

`〒980',
C-q C-j,
`仙台市青葉区片平2-1-1',
C-q C-j,
`東北大学電気通信研究所',
RET

と入力します。