Wed, 23 Jul 2008
ストーカー(密猟者)、あるいは願望機
文学好きの岩波さんにお勧めされたので、買うてきました。アルカジイ&ボリス・ストルガツキーのストーカー、早川書房。
原題は路傍のピクニック。アンドレイ・タルコフスキーの同名映画の元ネタ。ストルガツキー兄弟の書いたシナリオのタイトルは願望機。異星人が残したと思しきというか人類の理解を越えずぎているから多分そうなんだろう的な品々が転がる「ゾーン」と、その周囲でのたくるかしこやらアホな人間たち。かしこな人々は人類の進歩がどうとか、アホな人々は金になるからといってそこにある品々を持ち出す。ゴールドラッシュみたいだがただし、「ゾーン」の中は重力異常とか時間の流れが変とかはあたりまえで、入って出てくるだけでも命懸け。何かしらんが地面のこの染みを踏むと良くないことがおこる、この道を通った奴は挽肉にされるがその後しばらくは大丈夫(しばらくってどれだけの間だ?)、ストーカーの子供は不具になる…
…以下は自分語り。はじめて読んだのは高校生の頃。早川文庫で一冊だけ残すならこれか山尾悠子の遠近法だと信じるくらいむちゃくちゃ影響を受けてあげくふたつを混ぜこぜにしたような小説を一本でっちあげそれが学内誌にとはいえ掲載されたりしたのも嬉し恥し良き思い出なわけだが。てゆーか、この傑作が1983年の初版からこっち八刷しかなっていないなど信じられないがその他の蟻塚のかぶと虫にせよ収容所惑星にせよ苦労して入手したは良いがとんでもなく退屈なしろものであってがっかりだったからさもありなんというかじぶんがエスエフに嵌らなかったのはこのせいだとおもうんだ。でも、最後の一文を覚えていていまでも忘れていない。
すべてのものに幸福をわけてやるぞ、無料で。だから、だれも不幸なままで帰しゃしないぞ!
願望機が叶えてくれるのは心の一番底にある願いだけ。