Sun, 30 Sep 2007
歌詞がちゃんと聞き取れる日本語の歌唱
大体において、どれもこれも何語で歌ってんだか分らん訳だ。母音が曖昧だったり妙に巻き舌だったり棒読みだったり。
- か(ぁ|ぉ)ら(ぁ|ぉ)た(ぁ|ぉ)ち(ぃ|ぇ)の(ぅ|ぉ)は(ぁ|ぉ)な(ぁ|ぉ)が(ぁ|ぉ)さ(ぁ|ぉ)い(ぃ|ぇ)た(ぁ|ぉ)よ(ぅ|ぉ)
- くぁるぁたぁちぃぬぉはぬぁぐぁさぅいたぁぅよぅぉ
- カーラーターチーノハーナーガサーイーターヨー
北原白秋作詞、山田耕筰作曲のからたちの花を使っていくつか例を挙げてみたけれど、まあどれもこんな感じで、日本語だってことは分るけれど歌詞がまったく聞き取れない。小学校の頃、音楽の時間に聴いたものは正にこんな感じのしろもので、正直笑っちゃうような、滑稽な。大人になった今聴いても、山田耕筰の旋律は損なわれないにしても、北原白秋の歌詞は台無しであると感じる。こんなの日本語じゃ無ぇ。お前ら、シューマンやフォーレの歌曲を批評するのにドイツ語の発音が悪いのアクセントが変だのもっとツバをとばすようにペッペッペッてやれよとか、フランス語の話すように歌う歌い方が大事だとか鼻濁音がとか言うくせに、母国語の歌唱についてはこんなのを許し続けているのか。
藍川由美 山田耕作作品集 |
藍川由美は、こうした日本語歌唱の問題に取り組んでいる方です。実際に聴いてみるまでは半信半疑だったけれど、うん、これはちゃんと日本語に聞こえる、歌詞を聞き取れる。思わず吹き出しちゃったりしない。笑いがこみあげてきたりしない。素直に楽曲に向きあうことができる。正直なところ、最初にこの録音を聴いたときは、あんまり美しいので、少し涙が滲んだ。