How My Heart Sings

Thu, 03 May 2012

スペインの作曲家強化(中略) ー Xavier Montsalvatge

Xavier Montsalvatge(ハビエル・モンサルバーチェ)(1912生2002没)はスペイン出身のクラシックの作曲家。最初に聴いたのはVictoria De Los Angelesが歌うCinco Canciones negras(五つの黒人の歌)でした。これがなかなか魅力的な曲だったので調べてみると…この人の惹句の一つに「アンティル諸島の音楽に影響を受け」とかあるんですけど、これは多分、スペインの植民地で現在はキューバだったりジャマイカだったりハイチだったりする、カリブ海の大アンティル諸島のことです。先住民は入植者が持ち込んだ疫病により全滅しており、現在住んでいるのは入植者やアフリカ系奴隷の子孫たちなので、影響を受けた音楽というのは元は多分スペイン+アフリカなのでしょう。後、バルセロナ・オリンピックの開会式の音楽、の一部を担当したとか。かなり重要人物っぽい。

リストに挙げたのは、ピアノ曲全集の第一集、歌曲全集の第一集、フルートやギターなど種々の協奏曲集、生誕100年に合せて出た代表作を集めたっぽいやつ、の四枚です。ピアノ曲全集は第一集が初期作品、第二集が後期作品らしいです。即興曲だのディベルティメントだのと、曲名からしてそれっぽい。第二集はノアの箱舟とか自由な鳥達とか。歌曲全集のほうはどうなんでしょう、作品目録とか見付からなかったので、良く分らない。

ピアノ曲の録音にはどちらもお尻にピアノ独奏の協奏曲が入っているのだけれど、第一集に入っているほうがどうも、作曲者の腕前を疑わせる出来栄えで。いやまあ演奏も弦合奏がささくれだってて悪印象に拍車をかけているんだけど、しょっぱなのダサい部分を通り過ぎれば、そこそこ聴けるんだけど。それまでのピアノ独奏の曲が、曲ごとに統一感は無いものの各々面白く聴けてた分、ギャップというか。

少し不安を感じつつリストの三枚目、二枚組みの協奏曲集を聴いてみたんだけれど、うーん…えーと…ごめん、どこが良いのか分らん。先程の印象と変らず、オーケストラの扱いが微妙な感じ。あまり効果的じゃないというか、独奏を全然盛りたてていないというか。…ピアノ曲と歌曲は他人にも薦められるけれど、オーケストラ曲のほうは無理だなぁ。

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Wed, 02 May 2012

スペインの作曲家強化(中略) ー Ernesto Halffter

Ernesto Halffter(エルネスト・アルフテル)(1905生1989没)はスペイン出身のクラシックの作曲家。兄とともにGrupo de los Ocho(スペイン八人組)と呼ばれる。兄のクリストバル・アルフテル間違えたロドルフォ・アルフテルが独学らしいのと違って、ファリャの弟子。スペイン内戦時はこれを嫌ってポルトガルのリスボンに避難し、その後スペインの内情や国外との関係が落ち着く1953年まで戻らなかった。兄と違って政治絡みの話しは無いみたい。…五つ違いの兄弟で、同じ作曲家で、でも違う人生になっていくものなのだなあ、と。

リストに挙げたのは、ピアノ曲全集、歌曲全集、Sinfonietta en Re Mayorの入っている盤、Rapsodia Portuguesaの入っている盤。…多分、ファリャに師事したことが作風に影響を与えているのだと思う。兄のほうはピアノソナタとか書いて頭でっかちっぽいところがあるんだけど、弟のほうは民族主義的なものを残して、且つSinfonietta en Re Mayorみたいな新古典主義的な曲を書いている。もう少しオーケストラ曲を聴いてみたいんだけど、iTunes Storeには無いみたい(映画音楽ならひとつある)。

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スペインの作曲家強化(中略) ー Rodolfo Halffter

Rodolfo Halffter(ロドルフォ・アルフテル)(1900生1987没)はスペイン出身のクラシックの作曲家。スペイン内戦時は第二共和国側(負けた方な)にあったため、戦後はメキシコに亡命。そこで後進の指導や作曲を、後には赦されてスペインで指導する機会もあった。…自分はMusica Mexicanaっていう録音でこの人の曲を聴く機会が有ったのだけれど、解説書とか読まないのでこういう背景とか知らないまま、普通にメキシコの人なのだと思っていた。同盤に収録されているObertura Festiva Op. 21Tripartita Op. 25には民族的な風味はまったく感じなかったけれど、Violin Concerto Op. 11は編成も手伝ってかそういうっぽいノリが感じられ、楽しく聴いておりました。

今回の強化月間にあたっては、iTunes Storeでナクソスの室内楽曲シリーズ三枚が最初に目に付いたので聴いてみたのだけれど…どうも、第一集の弦楽四重奏曲とかは地味で微妙な感じ。第三集はピアノソナタ等が入っていて、これは地味だけどそこそこ面白い。この三枚からなら上のリストのみっつめに挙げた第二集が良いと思う。ストラヴィンスキーやミヨーを彷彿とさせる、カクカクがたがた新古典主義的な曲Divertimento, Op. 7aが楽しいので。リストのふたつめ、同じくナクソスのオーケストラ曲を集めた一枚も同じ趣向の曲が多く入っていて楽しい。

スペインっぽさは、どうなんだろう…全体を通してあまり感じ取ることがなかった。上に挙げたリストの二枚目にはオーケストラ伴奏の歌曲が入っていて、これだけはスペインっぽさ満載だった。歌曲だと地が出るのか野生に戻るのか、他のみんなもそういう傾向がある。弦楽四重奏だのピアノ・ソナタだのというフォーマットで作曲しようとすると、良さが死んでしまうというか習作っぽくなってしまうのか。

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