Sat, 05 May 2012
スペインの作曲家強化(中略) ー Manuel Blancafort
Manuel Blancafort(マニュエル・ブランカフォルト)(1897生1987没)はバルセロナ出身のクラシックの作曲家。正式な音楽教育は受けなかったが、ピアノ・ロール工場長だった父からの繋りでジョアン・ラモート・デ・グリニョンに和声法を学ぶ。1914年に、同郷で四つ年上の、当時第一次世界大戦を避けてパリ留学から地元に戻っていた作曲家フェデリコ・モンポウの知遇を得て激励される。その後もScenes d'enfants(子供の情景)を献呈されるなど、モンポウと親しく交流する。その経歴と作風から、モンポウと比較されることがある。
- Blancafort & De Grignon: Concertos - Daniel Blanch, Podlasie Philharmonic Orchestra & Marcin Nalecz-Niesiolowski
- Blancafort: Complete Piano Music, Vol. 3 - Miquel Villalba
リストに挙げたのは、師匠の息子リカルド・ラモーテ・デ・グリニョンのTríptico de la Piel de Toroを併録したConcierto Para Piano y Orquesta No. 2 en la Menor "Ibérico"と、ピアノ曲全集の第三巻です。
どうしてもモンポウとの比較になってしまうのだけど…両者の曲の共通項としては、その内気さ、詩的な繊細さ等かな。ブランカフォルトはモンポウと異なり、多くの管弦楽曲やリストに挙げたようなピアノ協奏曲を書いている。管弦楽曲は聴くことができなかったけれど、1946年の作というピアノ協奏曲を聴いてみると、ものすごく穏健というか、ドビュッシー経由のシューマンというふうなんだ。スペイン風のふしまわしは出てくるけれど、ぎらっとしたものは全然感じない。ロマンティック。
ピアノ独奏曲を聴くと、確かに先程書いたような共通項もあってモンポウっぽく(モンポウ経由でサティっぽくドビュッシーっぽく)響く瞬間というのは多々あって、モンポウが好きならこれも好きになるんじゃないかな、と思う。でも、モンポウにあってブランカフォルトに無いものが明らかにあって…ええと、モンポウを語るときに「繰り返される鐘の響き」みたいな話しがあるじゃない。コーンってカツーンって鳴らされる、ジーンと浸透するような響き(子供か)。これが無いせいでこう、するする流れていっちゃう。モンポウはこわいけれど、ブランカフォルトはこわくない。